2024 年 6 月 18 日公開。2025 年 10 月更新。
Akamai API Gateway と Akamai App & API Protector の概要
Akamai では、今日のデジタル環境でよく見られる動的な Web アプリケーションおよび API 保護(WAAP)の課題に対処するため、進化を続けています。Akamai は成果を約束するサイバーセキュリティのパートナーとして、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)セキュリティの最新の脅威を入念に調査し、大切なお客様に最善の保護を提供する、堅牢で信頼性の高いソリューションの構築に活かしています。
今回は、併用することによって企業組織のセキュリティアーキテクチャを強化する 2 つの Akamai ソリューションについて、その主な能力と機能をご紹介したいと思います。この 2 つのソリューションとは、Akamai API Gateway(Akamai の API トラフィック制御ソリューション)と Akamai App & API Protector(Akamai のクラウド WAAP ソリューション)です。
Akamai API Gateway の仕組み
API Gateway は、組織ネットワークの API 管理とセキュリティを支援し、最適化します。また、重要な中継点として機能し、着信する API リクエストの認証、許可、ルーティングを実行します。このゲートウェイは防御の最前線に位置し、API リクエストがバックエンドシステムとやり取りする前にリクエストを検査します。つまり、トラフィックの認証と許可を通じて API を調べ、その API がアクセス可能で効率的かつ安全であることを確認します。
Akamai App & API Protector について
Akamai の App & API Protector は、従来の Web アプリケーションファイアウォール(WAF)から移行したもので、Web アプリケーションと API の両方に対応するようカスタマイズされた包括的な保護を提供します。このソリューションには次世代の WAAP テクノロジーが実装されているので、自動化やインテリジェンスを活用しながら、資産を高度なセキュリティ脅威から大規模かつ統一的に保護することができます。
さらに、全世界のトラフィックや脅威から継続的に学習することで適応型のセキュリティを実現し、変化するサイバーセキュリティ課題に最新の防御策で対抗できます。
この包括的な WAAP ソリューションは、常に更新されていく強力なテクノロジーや手法を通じて、企業組織のセキュリティ状況を従来の WAF から大きく進化させます。
「WAF」と「クラウド WAAP ソリューション」という用語は、OWASP Top 10 Web アプリケーション・セキュリティ・リスクおよび OWASP Top 10 API セキュリティリスクからの保護について説明する際に同じ意味で使用されることがよくありますが、後者の用語は Web アプリケーションと API の両方の保護を組み合わせたものであることから、ここでは「クラウド WAAP ソリューション」を使用します。
図 1 に示されているとおり、お客様の環境にアクセスしようとするトラフィックは、正当なものも悪性なものも、API Gateway による認証を受け、さらに App & API Protector によって防御、可視化、エッジ・キャッシュ・スケーリングが適用されます。このような仕組みを通じ、正当なトラフィックだけがお客様のところに到達します。
API ゲートウェイと WAAP の連携
API リクエストのプロセスは、API Gateway から始まり、ここで API の調査、認証/許可、インテリジェントルーティングが実行されます。
ゲートウェイを通過すると、トラフィックは App & API Protector に流れ、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃の緩和、ボット管理、SSL および TLS 暗号化など、より詳細なセキュリティチェックが実行されます。App & API Protector は、セキュリティポリシーを適用して許可を検証することで、攻撃試行を緩和し修正します。
Akamai の多層型セキュリティモデルでは、お客様の重要なバックエンドサービスやマイクロサービスに到達してこれらとやり取りできるのは、安全かつ正当なリクエストに限られます。
API Gateway と WAAP の違い
- API Gateway と WAAP は、Akamai のセキュリティ制御やアーキテクチャの不可欠なコンポーネントとして、相互に補完しあいながら機能していますが、API の脅威緩和における役割はそれぞれ異なります。
API Gateway は、API トラフィックの認証、許可、ルーティングを処理し、トラフィックのランタイムパフォーマンスと初期のセキュリティチェックを最適化します。
一方、App & API Protector(Akamai の WAAP ソリューション)は、より詳細できめ細かなセキュリティを提供します。Akamai Adaptive Security Engine のような最先端のセキュリティテクノロジーを活用し、巧妙な Web 攻撃や API の悪用など、多くの悪性ハッカーが使用する手口を防御します。
API Gateway をセキュリティスタックに統合する理由
着信する API トラフィックすべてに対する最初のチェックポイントとして API Gateway を使用することにより、以下の機能が可能となります。
アクセス制御:API Gateway は、エッジで JSON Web Token(JWT)を検証し、API キーを管理します。これにより、不要なトラフィックがコアシステムに到達するのを防ぎ、アイデンティティプロバイダーの負荷を軽減しながら、ネットワークレイテンシーを大幅に改善できます。
トラフィック管理:API リクエストに制限を設定し適用する機能を活用することで、過剰な API コールが発生してもサービスを維持できます。誰が何にどの程度の頻度でアクセスできるかを細かく制御できます。
レポートとポリシー適用の強化:API Gateway は、API の使用パターンに関する知見に加え、ルーティングルールや API プライバシー設定などのポリシーを適用する機能も提供します。これにより、最適なパフォーマンスが実現され、多様な標準への確実な準拠が可能となります。
App & API Protector の多機能一体型アプローチ
App & API Protector は、単一のフレームワーク内に複数の高度な機能と多層防御を組み込んだ、高速かつ信頼性の高い包括的セキュリティソリューションとして設計されています(図 2)。
業界をリードするアプリケーションセキュリティ
多層的に組み込まれた機能とカスタマイズ可能なきめ細かい設定(高度なレート制限など)により、すべてのアプリケーションを効果的に保護できます。これらの機能は最も高度な脅威を阻止し、脆弱性に対処できるように設計されています。また、プラットフォームに関する広範な可視性を活用してクライアントレピュテーションなどの要因への防御を提供する機能もあり、企業が予防的なセキュリティ体制を確立するために役立ちます。
API 保護
API 攻撃に対する防御に加え、API 探索の機能もあります。これは、新規の API、変更された API、または脆弱な API についてセキュリティチームに警告するとともに、クレジットカード番号や、電子メールアドレス、アカウント情報などの個人情報の使用またはアクセスを試行している API について予防的に報告する機能です。この機能は、データ漏えいの防止や、機微な情報の保護に関する法規の遵守に役立ちます。
DDoS 攻撃の防御
DDoS 緩和の市場リーダーとして認められている App & API Protector は、お客様から遠く離れたネットワークエッジで攻撃トラフィックを吸収し消失させることで、インフラを効果的に保護します。最近のイノベーションにより、レート制限などのレイヤー 7 DDoS 防御も強化され、アプリを標的とするボリューム型サイバー攻撃を防御します。
ボットの可視化と緩和
1,700 を超える既知のボットから成る Akamai の広範なディレクトリにアクセスすることで、ボットトラフィックをリアルタイムで可視化できます。また、偏った Web 分析の調査や、オリジンの過負荷の防止、悪性ボットの攻撃をブロックできるほか、独自のボット定義を作成することでサードパーティやパートナーのボットが阻止されずにアクセスできるようにすることも可能です。
Akamai Edge プラットフォームとコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)
App & API Protector は、Akamai の優れたエッジプラットフォームの最先端のパフォーマンスと非常に効果の高いセキュリティ機能を結び付け、Akamai の CDN ソリューションを活かして 100% のサービスレベル契約のアベイラビリティを実現します。Akamai Site Shield、Akamai Image & Video Manager、Akamai mPulse Lite、Akamai EdgeWorkers、Akamai API Acceleration など、お客様から好評をいただいている機能も含まれています。
あらゆる脅威から常にネットワークを守る
API Gateway と App & API Protector は、堅牢なセキュリティアーキテクチャの重要なコンポーネントとして機能し、API 管理や予防的セキュリティを最適化するとともに、複雑化する脅威に対する強力かつ包括的な防御を提供します。この 2 つのツールの連携によって、常に変化するサイバー脅威からアプリケーションと API を効果的に保護できるのです。
これらのソリューションと脅威インテリジェンスが提供するクラス最高レベルのセキュリティにアクセスし、しっかり活用することで、安全かつ効率的なデジタルエコシステムを実現できます。その結果、重要資産を確実に保護しながら、ビジネスを拡大し、魅力的なユーザー体験を提供することが可能となります。
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